皆様こんにちは! 工務部の永田です。
さて現在、大阪市にて蔵の再生工事のお手伝いをさせて頂いております。
作業中盤、とても面白い物を発見しましたので紹介します。
こちらは、蔵に良くみられる、外壁の腰壁の写真です。
この腰板を解体したところ…
なんとも、不可思議な模様が一面に施されておりました。
こちらが、その写真です!(すこし、この写真ではわかりにくいかな…?)
壁一面に、「 /\/\/\ 」←のように、ハの字模様が現れました。
土壁造りの場合は、一度に大量の土を塗るのではなく、薄く塗っては乾燥させ、
そしてまた薄く塗ってまた乾燥といった具合に何度も重ね塗りを行います。
その際に、前に塗った土と新たに塗る土の接着が良くなるように、わざとクシ目と言う溝を入れ、
途中で土壁がはがれてしまわないようにする、昔ながらの知恵があります。
しかし・・・今まで見てきた、クシ目模様とは少し違う。
かつ、ハの字模様がある面と無い面と… なぜ・・・??
インターネットで調べてもわからず、思い切って本職の左官屋さんに尋ねて、問題はあっさり解決!
土蔵造りの土壁の厚みは約30㎝あります。
その厚みを短期間の工事で進めていくと、ひび割れや破断、剥落等の弊害が起こるため、
前記で述べた通り、何ヶ月もかけて十分に乾燥をさせながら少しづつ少しづつ工事を進めていきます。
長期間の乾燥期間中は、もちろん工事は行わないので、その間は沢山の方の目に晒されることになります。
その期間、工事半ばの建物が、みすぼらしく見えない様にと、工事中の壁にわざと模様を付けて、
建物が華やかに見えるよう、当時の職人達の遊び心と、プライドが詰まっていたのですね!
その他にも今回、何度も蔵の工事を手掛けてきた、左官の親方も思わずうなずくような、当時の職人達の知恵と技があちこちに。
その親方が、「昔は時間がゆっくりやったんやな。今みたいに、誰も急いで無いな…」…と。
同じ「蔵」でも、その造りは実に様々。
教科書ではなく、現場ではこう言った昔の生の仕事との出会えるのは、本当に勉強になります。
次この蔵を改修する時は、どんな時代でどんな職人が来るのかわかりませんが、
少なくとも100年のバトンを渡したいですね!
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